アイルランドスポーツの1年を振り返ってみよう

TENEOというアイルランドのコンサル会社が毎年出してる国内スポーツに関するリサーチ画像ってのがあって、去年くらいから楽しみにしてるのだが、今年も出たようなので確認してみた。

今年のアイルランドのスポーツ界における注目の人物といえば、男性はゴルフの全英オープンを制したシェーン・ローリー、女性はボクシングで全団体統一+2階級制覇を達成したケイティ・テイラーの2人が真っ先に挙がるというのが良く分かる。

シェーン・ローリーの全英制覇は自身初のメジャー制覇、アイルランド勢でも11年ぶりのメジャータイトル。好きなスポーツでもトップ5に入るくらいゴルフ愛好家は今も相当するいるアイルランドだけにその功績は賞賛を集めていると言っていい。

一方のケイティ・テイラーは今や後述するホッケー代表と並び、アイルランドにおける活躍する女性のアイコンとなっているとも言える。サッカーのアイルランド代表からボクシングに転向し五輪金メダル→プロで無敗の2階級制覇。今年は本場アメリカのリングへの進出も実現した。

団体競技に目を向けるとGAAにおいてはゲーリックフットボールにおけるダブリンの史上初となる5連覇が大きなトピックとなった。ただ経済的に恵まれた環境にあるチームが順当に勝った印象を持つ人もいるのか、思ったほどの盛り上がりはなかったようにも見える。(ちなみにこの点はケリーファンである筆者のバイアスがかかっている事は白状しておく。)ハーリングではティペラリーがAll Irelandを制したがフットボールほどの話題にはなっていない。むしろ、やや番狂わせの向きもあったウェックスフォードのレンスター選手権優勝の方が印象が強いくらいだ。やはりこのあたりは去年リムリックが45年ぶりのAll Ireland優勝だった事の反動も含め、インパクトの大小が影響しているのかもしれない。

一方で期待外れの結果となったラグビー代表に対する評価は概ね低調と言える。ただU-20のシックスネーションズを制したU-20代表の評価は高い。クラブレベルでもチャンピオンズカップのベスト4に2チーム送り込む(レンスターとマンスター)など、しばらくはアイルランドラグビーは国際的に見ても高い水準を保てるのではないかと思っている。

そして来年に向けての興味はなんだかんだで五輪に向かっている。ここで関心が高いのは女子ホッケーとボートの2競技。女子ホッケーは昨年世界選手権で準優勝したことで一気に注目度が上がっている。五輪出場をかけたカナダとのプレーオフでは最後PS合戦までもつれ込む激闘を制し切符を手にしている。個人的な注目は8/1のイギリスとの直接対決だ。またボートも軽量級ダブルスカルで世界選手権を2016~2018と3連覇したオドノヴァン兄弟(今年は弟ポールとフィンタン・ンマッカーシーのコンビで優勝)にメダルの期待がかかっている。

続いての注目はユーロ2020。こちらは来年早々に出場権を賭けたプレーオフが行われる。まずスロヴァキアと戦い、勝てばボスニア・ヘルツェゴビナ対北アイルランドの勝者と戦う。そう、決勝が南北決戦の可能性もあるということだ。

ちなみにアイルランドにおける人気競技について、GAAが1位との統計は出ているがこれがゲーリックフットボールとハーリング合算だという事を鑑みれば単一競技ではサッカーの方が1番人気の競技だという見方はできるかもしれない。ただし、このサッカーはイングランドプレミアが中心、あとは代表、スコティッシュプレミアくらいまでが主な対象というのが現状かもしれない。アイリッシュプレミアのダブリンダービー(シャムロック・ローヴァーズ対ボヘミアンズ)がゲーリックフットボールのAll Ireland決勝とほぼ同じ時期にあったのだが、観客数は約10分の1(約8万対8千)。両チームの順位や大会の格式、スタジアムの規模等を考えてもこの差は明らかに大きい。

しかしこういう網羅的なデータって日本でもまとめてくれるところないかなぁ。